● YODOe-learning Box
淀井病院では現場で働くスタッフの啓発及び業務の改善を目的として、上野 副院長の手によるレジュメを定期的に各部署に回覧しております。
元々は当院の職員向けに編集されたものですが、これを 「YODOe-learning Box」 として再編し外部の方でも閲覧できるようにいたしました。
クリックするとPDFファイルを別タブで開きます。
● 栄養教室
淀井病院では過去 数度にわたり当院の管理栄養士による栄養教室を開催しておりました。
当時ホームページで公開しておりました開催内容を再掲いたします。
※ このコンテンツ(栄養教室)は Java Script を使用しています。
下図のようなメッセージが表示された場合は、「ブロックされているコンテンツを許可(A)」をクリックして下さい。
高血圧のタイプ
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1 食塩(ナトリウム)についての反応の違い
食塩非感受性: 塩分をとっても血圧に影響しない
食塩感受性 : 血圧が塩分に敏感に反応する人
血圧はなぜ上がるのか
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1 腎臓のナトリウム排泄機能との関係
・腎臓からナトリウムが尿のなかに排泄されずに体内にたまってしまう
・ナトリウムは水を引きつける性質を持っているのでその分腎臓からの水分の排泄量も減って体内に水がたまる
・体内の血管を巡る血液量が増えて心臓のポンプが大量の血液を動かすために速く、大きく拍動 して血圧が上昇する
2 交感神経の興奮と塩分の関係
・交感神経の興奮によって副腎皮質から血管の上昇に作用するホルモンが出される
・交感神経の興奮によって腎臓でのナトリウム排泄が低下し、血液中のナトリウムが増えそこに水が取り込まれることにより、血管壁に浮腫が起こり、血管壁が膨張し内部が狭くなり上昇する
・交感神経の興奮状態はストレスが原因の場合が多い
高血圧に効果のある食事
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1 ナトリウムを控える
2 ナトリウムを体内から排泄する
・ナトリウムを排泄する栄養素
カリウム・・・・・野菜・海藻・芋類・大豆・果物
カルシウム・・・・牛乳・乳製品
マグネシウム・・・種実類(ナッツ類・ゴマ類)・緑黄色野菜
3 食事療法のポイント
・食事は1日3回規則正しく食べる
・ナトリウムを制限する
・バランスのよい食事をする
・食事はゆっくりと楽しく食べる
・禁煙する
・体重を頻繁にチェックする
外食・市販食等の調理済みの食品への注意
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1 麺類の汁物は残す
2 漬け物は浅漬けや一夜漬け等の低塩の物
たくさん食べたり、醤油をかけない
3 ハム・ベーコン等の加工食品等の調理済み食品及び、スナック菓子・せんべい等の食品には塩分が多 く含まれるため多量摂取しない
高血圧によくあるQ&A
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Q. リンゴ・バナナは高血圧によいといいますが本当ですか?
A. 生の野菜や果物に含まれるカリウムが高血圧の原因のひとつであるナトリウムの溜まりを防いでくれます。
ふだんから生の野菜・果物を十分に摂る心掛けると良いです。ただカリウムは茹でたりすると水に流れ出てしまうのでできるだけ生の状態で摂ることが望ましいです。また過信しすぎて塩分を増やすことは出来ませんので注意して!
Q. お酒(アルコール)は血圧を下げる効果があるというのは本当ですか?
A. リラックスして”適量”飲んでいるときは血圧や悪玉コレステロールを下げる働きをしますが、飲み過ぎると心臓や腎臓に負担がかかりかえってよくありません。またアルコールは食欲を増進しカロリーもあるので肥満を招き高血圧へと繋がります。飲み過ぎには注意が必要です。
肥満の定義、脂肪の働き
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1 体脂肪の重さが問題 → 過剰なエネルギーの蓄積
2 脂肪組織は決して悪者ではない
・エネルギーを蓄積する役目
・飢餓に強い
・女性の場合、妊娠・出産に耐えるエネルギー源
3 断熱効果 → 暑さ寒さに強い
4 熱を産生 → 寒いとき、熱を産生し体を温める
肥満指標 − ボディ・マス・インデックス(BMI)について
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1 BMI とは
ボディ・マス・インデックス(Body Mass Index)の略
「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で算出される体格指数のことで、肥満度を測るための国際的な指標
医学的に最も病気が少ない数値として 22 を「標準」とし、18.5以下なら「痩せ」、25以上を「肥満」としている
あなたの BMI を計算してみましょう
身長欄と体重欄にそれぞれ数値を入力して、計算ボタンをクリックしてください
(入力例 : 身長が 1m 60cm、体重が 53kg の方の場合
身 長 : 160
体 重 : 53
)
2 体脂肪量の測定方法
・体密度法 ・・・ 水槽のなかに身体全体を沈め、浮力から体内の脂肪量を推測
・皮下脂肪圧測定 ・・・ 肩胛骨下端部や腕皮下脂肪の厚みを測定
・CTスキャン ・・・ 腹部CTで内臓・皮下脂肪の面積を測定
・体脂肪計 ・・・ 身体のインピーダンス(身体の抵抗量)を計り、体内脂肪量を類推する方法
(誤差も大きくあくまでもひとつのめやす)
3 肥満の分類
・上半身型 ・・・ りんご型 内臓脂肪が多い → このタイプは危険
W:ウエスト
H:ヒップ
W ÷ H > 0.8
臍周囲経:男 > 85cm、女 > 90cm
・下半身型 ・・・ 洋ナシ型 皮下脂肪が多い → 比較的安全
隠れ肥満
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BMI が正常範囲 (18 〜 24) であっても、内臓脂肪が多いタイプ
生活習慣病の可能性が高くなる
肥満症が引き起こす病気
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・高血圧
・糖尿病
・高脂血症
・脳血管障害
・動脈硬化症
・脂肪肝
・胆石
・膝関節症
・夜間無呼吸症
・月経異常 ・・・など
肥満になる原因について
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・人間は本質的に脂肪をためやすい
・基礎代謝の低下
・高脂肪食が多い
・食べる時間、食べ方が不規則
・運動不足
食習慣の見直し(食生活の3つのポイント)
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1 摂取エネルギーの是正
・余分なエネルギーは摂らない
・1日の摂取カロリーの求め方
標準体重 × 身体活動量
標準体重・・・・・身長(m) × 身長(m) × 22
身体活動量・・・・高齢者 25キロカロリー未満
事務仕事・主婦 25〜30キロカロリー
立ち仕事が多い人 30〜35キロカロリー
あなたの1日の摂取カロリーの適正値を計算してみましょう
該当する項目を選択し、身長欄にそれぞれ数値を入力して、計算ボタンを
クリックしてください
(入力例 : 身長が 1m 60cm の方の場合
身 長 : 160
)
2 栄養バランスの適正化
カロリーベースで
糖 質 ・・・ 60%
タンパク質 ・・・ 20%
脂 質 ・・・ 20%
脂肪を極端に減らしたり、糖質を減らしたりするアンバランスな食事はよくありません
3 食行動の是正
・ゆっくりよくかんで食べる(30回以上)
・食事中に少し中休みを入れる
・ながら食いはしない
・夜食はしない
・夕食はねる3時間前に済ませる
・1日3食は食べる
・1口だけ残す習慣を
・計画的に必要な物だけ買い置きする
・食べ物をあちこちに置かない(1カ所に決める)
・大盛りはやめる
・残り物はすぐに捨てる
危険なダイエット
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・急激に無理なダイエット
月に 1 〜 2kg のペースの減量が理想
・不必要に繰り返すダイエット
・危険な民間療養
糖尿病ってどんな病気?
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・血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が高い状態が持続する病気です
糖尿病とブドウ糖・インスリン
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・ブドウ糖の血中濃度が何らかの理由により高くなってしまい、捨てられるはずのないエネルギー源であるブドウ糖が尿に混じって捨てられる現象を、一般的に糖尿といっています
・細胞にはブドウ糖が入ることが出来る、鍵のかかったドアがあります
その鍵を開けるのが、すい臓から出されてくるインスリンです
ブドウ糖が細胞に入り込むためには、必ずインスリンが一緒でなければならないのです
血糖値の上昇理由
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・すい臓の障害 ・・・ インスリンを製造する能力がない場合
・インスリンの製造能力が正常であっても、せっかく作られたインスリンがすい臓から出にくくなっている場合
・細胞にあるインスリンの鍵穴の数が少なかったり、鍵穴の感度が悪い場合、鍵穴が見つけづらい場合、鍵が差し込まれてもドアが不調でなかなか開かない場合
以上のような理由により
すい臓がひたすらインスリンを生産
↓
血糖値もインスリン値も高くなる
↓
インスリンが多いと食欲が強くなり、食事の量が増え、ますます血糖値が上昇する
↓
余ったインスリンは分解され中性脂肪になるため、なおさら悪循環を繰り返す
↓
すい臓が正常に働かなくなる
肥満、ストレス、妊娠、加齢なども高血糖を起こす素因となります
糖尿病の食事による予防法
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肥満を防ぐことが最大のポイント!!
・野菜はたっぷりとる
・食事は決まった時間に、時間をかけて食べる
・甘い物や脂っぽい物は食べすぎない
・1人分ずつ取り分けて食べる
・うす味にする
・ながら食いはしない
・多いときは残す
・お茶碗は小ぶりのものを使う
・調味料はかけずに、つける
・食品のエネルギーを知る
糖尿病にならないために
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・糖尿病にならないためには、適度な運動を心がけましょう
運動することにより、体についた体脂肪を減らしたり筋肉をつけて基礎代謝の多い体を作ることが大切です
運動の工夫及び運動による消費カロリー
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1 病気を防ぐためには、体がきついと感じるほどの運動は必要ありません
スポーツに限らず、日常生活で基礎代謝を向上できるように工夫しましょう
運動時間は1日に 20 〜 30分くらいを目安にし、最初は短くても徐々に時間をのばし継続するようにしましょう
2 運動の工夫
・外出するときだけ少し早めに歩く
・遠回りして歩く距離を増やす
・買い物は歩いて、買いだめせずにこまめに行く
・エレベーター・エスカレーターをなるべく使わず、階段を使う
・テレビを見ながらストレッチをする
糖尿病の現状
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・60歳を超えると6人に1人が糖尿病
・成人の失明の原因の第1位
・人工透析の導入になる原因の第1位
・日本人の食事の欧米化(高脂肪・高タンパク)
・内臓脂肪を蓄積しやすい遺伝的要素
食事療法 その@
▼Click!
1 適正なエネルギー(カロリー)量の食事をとる
1日の摂取カロリー = 標準体重 × 身体活動量
あなたの1日の摂取カロリーの適正値を計算してみましょう
該当する項目を選択し、身長欄にそれぞれ数値を入力して、計算ボタンを
クリックしてください
(入力例 : 身長が 1m 60cm の方の場合
身 長 : 160
)
食事療法 そのA
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2 血糖値が上がりにくい食事をとる
→ 栄養素のバランスのとれた食事をとる
バランスのとれた食事とは
主食・主菜・副菜の3種類を組み合わせて
タンパク質
脂 質
糖 質
ビタミン
ミネラル
食物繊維
を、いずれも過不足なくとる食事のこと
1日のカロリーを3食に分けてバランスよく食べるために参考になるものとして
「食品交換表」があります
食事療法 そのB
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3 規則的な食習慣を心がける
→ 食後の血糖値上昇を抑える
・ 食事時間を規則的にとる
・ 一定の間隔を開け、分量も均等にする
・ ゆっくりよくかんで食べる
・ 食品の加工方法を工夫する
同じ分類の食品を同じカロリーだけとっても、血糖値に対する影響が違ってきます
たとえば、果物をそのまま食べるのとジュースにして飲むのとでは血糖値の上昇度が違ってきます
ジュースにすることにより消化吸収が速くなり、体内への吸収も早くなります
このように、同じ食品でもすりつぶしたり長めに茹でたりすることにより、血糖値が上昇しやすくなります
逆に果物を固形のままとったり、固めに茹でることにより吸収率を低くすることができ、血糖値の上昇を抑えることが出来ます
また、消化されにくい食物繊維を一緒にとることで消化吸収を延長し、急激な血糖上昇を抑えられます
運動療法
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・カロリーの消費によって直接的に血糖値を下げる
・筋肉の働きが活発になることで、インスリンの感受性が増し効果があがる
・心肺機能が丈夫になる
・血圧が安定し、HDL−コレステロールが増加すること等から血管を丈夫にし、合併症の予防につながる
・ストレスを発散し、生活のリズムが規則正しくなる
糖尿病と歯周病との関係
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・歯周病菌が体内に侵入してくると、炎症を引き起こします
その際、インスリンの働きを阻害するものがあり血糖値が悪化し、血糖コントロールがむずかしくなります
・歯周病が進行すると歯を失ったり、歯がグラグラして食べられるものが限られ、消化吸収の良い やわらかい食べ物ばかりになり、食後の血糖値が急激に上昇する状態を引き起こしやすくなります
シックディ(体調を崩したとき)
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・糖尿病は様々な要因に影響されて悪くなる可能性があります。勝手に判断せずに少しでも不安があれば、すぐに診察を受け、主治医の指示をもらうのが一番賢明な対処法です。
・合併症(腎症など)予防のために早期から塩分制限を行うよう心がけてください。もし腎症が始まってしまったら、進行を抑えるために塩分とタンパク質を制限するようにしてください。
・合併症がある程度進んでしまうと体をもとに戻すことはできません。従って、糖尿病は早期発見して早期治療をしなければいけません。合併症に負けないように、強い意志を持って糖尿病をコントロールし続けることが必要です。
高コレステロール血症とは
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高コレステロール血症(≒高脂血症)とは、血液中の脂質(コレステロール、中性脂肪など )が異常に増えた状態をいいます。
基本的には、自覚症状がほとんどない場合が多いのですが、血管の壁に血液中のコレステロールが付着して動脈硬化が進行します。動脈硬化が進むと心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる病気を起こしやすくなります。
また、冠動脈疾患の最大の危険因子といわれています。
血液中の脂質について
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血液中の脂質には主に
中性脂肪
コレステロール
リン脂質
遊離脂肪酸
などがあります。
一般的に同じように思われがちな 中性脂肪 と コレステロール では、次のような違いがあります。
・中性脂肪 → 体を動かす際にエネルギーとして使われる。
体脂肪の 9割を占め、主に脂肪細胞に蓄えられる。
・コレステロール → 身体を動かす際のエネルギーとして使われない。
体脂肪の1割を占め、体内に広く分布し余分にあると、血液中に留まり悪さをする。
さらにコレステロールには、HDLコレステロール と LDLコレステロール の 2種類があります。
HDLコレステロール と LDLコレステロール の違い
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1 同じ 5gの 鉄 と 綿 ではどのように違うのか?
鉄 5g・・・ちょうどパチンコ玉の大きさと同じです。
綿 5g・・・パチンコ玉の10倍以上の大きさになります。
同じ 5gでも比重の違いにより体積が大きく変ってきます。
この関係が、HDLコレステロール と LDLコレステロールによく似ています。
2 HDLコレステロール と LDLコレステロール の 違い
HDLコレステロール(高比重リポ蛋白) → 鉄 5g
体積が小さく高比重
善玉コレステロールと呼ばれている。
LDLコレステロール(低比重リポ蛋白) → 綿 5g
悪玉コレステロールと呼ばれているのは
実は重さのわりに体積が大きいからです。
高比重で低体積のリポ蛋白・・・HDLコレステロールのほうが血管を流れやすい、と言えます。
HDLコレステロール と LDLコレステロール の はたらき
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・HDLコレステロール
動脈壁などの余分なコレステロールを、肝臓に運ぶ役割があります。
HDL は、動脈硬化の原因となる血管壁に溜まったコレステロールを回収します。
善玉コレステロールと呼ばれています。
・LDLコレステロール
コレステロールを肝臓から身体の必要な部分まで運ぶ役割をします。
しかし LDL が多すぎると酸化を引きおこし、動脈壁に入りこんで沈着し厚くしてしまいます。
動脈硬化へと進む危険が大きくなるので、悪玉コレステロールといわれています。
最近の研究では、LDL そのものが悪い訳ではなく、LDL が酸化(酸化が人体の中で起こるといろいろな病気の引き金となります)したもの ・・・ 酸化LDL が要因であると分かってきました。
LDL を酸化するのは 活性酸素 だといわれています。
活性酸素って・・・?
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人間は呼吸によって酸素を体内に取り入れ、食べ物などを燃焼させてエネルギーに変えますが、このとき酸素の一部が変化して活性酸素が発生します。
活性酸素になった酸素はとても不安定な状態で、普通の酸素が 2個の電子ペアになっているのに対し、活性酸素は電子が 1個欠けています。
活性酸素は他の電子を横取りしようとしたりして本来の機能を失って変質してしまうのです。
このようにして発生した活性酸素は、細胞を傷つけさまざまな病気を引き起こします。
コレステロール値・中性脂肪値を下げるための食事
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1 エネルギーを適正にする
食べすぎ肥満は肝臓コレステロールの合成を促進させます。
一日の必要エネルギー量は年齢、性別、運動量を考慮して求めましょう。
2 油脂の摂り方に注意する
油脂は構成成分である脂肪酸によって体への作用が異なります。
動物性の脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸(牛肉、豚肉の脂身、バター)には血液中のコレステロールを上昇させる作用があります。
それに対して植物油や魚油に多く含まれる不飽和脂肪酸には血液中のコレステロールを低下させる作用があります。
3 植物性のたんぱく質を摂る
大豆たんぱくなどの植物性たんぱく質はコレステロールを低下させる働きがあります。
大豆や大豆製品をできるだけ摂取する機会を増やしましょう。
4 抗酸化物質を摂る
LDLコレステロール は活性酸素によって 酸化LDL になると血管壁に蓄積します。
それを防ぐために LDLコレステロール を減らすとともに活性酸素による酸化を防いでくれる抗酸化物質を多く摂るようにしましょう。
5 アルコールを控える
過剰摂取は中性脂肪値を増加させるため制限が必要です。また、アルコールは高エネルギーである上に、飲酒によって自制心がゆるみ食事療法が守れなくなる可能性があるので、できれば避けて下さい。
おつまみは食物繊維が多く、動物性脂肪の少ない料理を上手に選び、適量をたしなむように心がけてください。
※ ビール大瓶 1/3 本 = 米飯茶碗 1/2 杯
どちらも同じ 80キロカロリー です。
6 甘いお菓子・清涼飲料水・果物を控える
甘いお菓子、清涼飲料水、果物など糖質の摂りすぎは、中性脂肪上昇の原因になります。
食事は 1日 3食を基本として、間食で菓子や果物などを食べ過ぎないよう注意しましょう。
7 食物繊維を充分に摂る
水溶性の食物繊維は胆汁酸を便中に排泄させる結果、LDL を低下させる作用があります。
また根菜などの野菜に多い不溶性の食物繊維は、水分を吸って膨らむため満腹感が得られ、食べすぎを防ぐことができます。
8 夕食過多に注意する
夕食過多は 1日のトータル摂取エネルギーが低くても中性脂肪が高くなる可能性があります。
中性脂肪は夜、寝ているうちに作られるからです。
植物油 と 魚油
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・植物油
植物油に多く含まれる脂肪酸のリノール酸(サフラワー油、コーン油、胡麻油、ひまわり油)は多く摂り過ぎると LDLコレステロール を下げるだけでなく HDLコレステロール を低下させる作用がありますが、オレイン酸(オリーブ油、菜種油、大豆油)は HDLコレステロール は下げないと言われています。
・魚油
魚油に含まれる EPA や DHA(いわし、鯖)には血小板凝集抑制作用があり血栓予防効果が期待されます。
肉食を減らし魚食を増やすとともに植物油も適量を摂るようにしましょう。
植物油や魚油でも摂り過ぎはエネルギー過剰で肥満の原因になります。
脂肪の総量を控えめにしましょう。
抗酸化物質
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・ビタミン C 野菜、くだもの、芋類
・ビタミン E モロヘイヤ、南瓜、ブロッコリー、しそ、パセリ、アーモンド
・β−カロチン 緑黄色野菜
・ポリフェノール 赤ワイン、バナナ、マンゴー、ブルーベリー、チョコレート、
納豆、ブドウ、りんご、コーヒー
・イソフラボン 大豆
・カテキン お茶
・セサミノール ゴマ
・リコピン トマト
日常生活上の注意
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日常生活においてご注意いただくことは、主に以下の 2点です。
1 適度な運動をしましょう
有酸素運動(ウォーキング、軽いジョギング、水泳、水中歩行、サイクリング)が、中性脂肪や HDLコレステロール といった脂質に好影響を及ぼすのに対し、筋力トレーニングや短距離走のような無酸素運動は、主として糖質がエネルギー源となり、動脈硬化予防としての直接の効果は期待できません。
しかし無酸素運動は基礎代射量、熱産生量を向上させ、冷え性、腰痛、脂肪蓄積を防ぐ事ができます。
長続きのコツは無理せず 「 頑 張 り す ぎ な い こ と 」
2 タバコ はやめましょう
喫煙は HDLコレステロール(善玉)を、減少させます。
これにより動脈硬化を早めることになりますので、タバコはやめるようにして下さい。
よくあるご質問
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Q. HDLコレステロールが高いのは問題があるの?
A. HDLコレステロール(善玉)というのは、元々組織で余っているコレステロールを肝臓に運んで処理するための粒子が HDLコレステロール(善玉)ですから、動脈硬化には予防的に働きます。
多い方が動脈硬化になりにくいというのが原則的な考え方です。
Q. HDLコレステロール を上げるにはどうすればいいの?
A. 喫煙することで HDLコレステロール が低くなります。喫煙をやめることが最も効率的です。 他にも肥満の解消、運動量を増すと効果があります。
なおアルコール(飲酒)の影響については、少量の飲酒で HDLコレステロール が上がる事がわかっています。 肝臓の障害や肥満につながらない少量であれば、禁酒しなくていいでしょう。
ただお酒を飲めない人が無理に飲むのはやめてください。
Q. 同じ食事なのに妻だけコレステロール値が上がるのはなぜ?
A. ほとんどの場合、体が違うにもかかわらず、同じ量を食べてしまうためです。
体の大きさ、活動量によって食べる量が変わります。この場合、奥様の食べる量が過剰の場合であると思われます。
またコレステロールはホルモンの材料として作られます。
ホルモンの合成が減れば、血液中に余って高くなります。男性に比べて女性では、閉経に伴ってホルモン合成の低下が急激に生じることがあり、奥様だけコレステロールが上がる状況につながることになります。
Q. コレステロールが高いのですが卵 1日 1個は多いですか?
A. 他にコレステロールやその原料の供給が多くなければ、必ずしも 1日 1個は多くはありません。
肉も魚もあまり食べない、卵だけだったら 1個でも多くありません。
他の食品から、コレステロールやその原料を十分に摂取しているならば、1個でも多いでしょう。
Q. 牛乳、乳製品のコレステロールが心配なのですが?
A. 牛乳を 400ml(コップ 2杯)飲んでも、摂取するコレステロールは 44rに過ぎず、プロセスチーズは 1切れ( 20g)は 16rで、目安の一日 300r程度からみても少なく、問題はないでしょう。
ただ、牛乳を 1,000ml 〜 2,000ml 飲んで 食事が食べれなくなり、栄養補給が偏ってしまうのはよくありません。
カルシウムとは
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・人の体内に最も多く存在するミネラルです。
・体重の 2%を占め、内 99%が骨と歯につかわれており、そこが貯蔵庫になっています。
残りの 1%は血液や細胞の中に存在しています。
・役割は、骨と歯の組織の構成、精神の安定、酵素の活性化、細胞の結合、心筋や筋収縮の調整など、人体になくてはならない存在です。
・成人の 1日あたりの所要量は 600mg
ですが、日本人の約 60%の人がカルシウム不足といわれています。
カルシウムが不足すると・・・
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・歯がもろくなる
・骨がもろくなる
・・・ 骨折、変形が起こりやすくなります
・骨粗しょう症や骨軟化を引き起こす
・高血圧症や動脈硬化、糖尿病を促進させる
・・・ 筋肉を収縮させたり心臓を動かしたりと、神経の働きや
ホルモンの分泌などに関わっています
・出血したとき、血が止まりにくくなる
・神経過敏になり、イライラする
骨粗しょう症 : 骨量が減少し骨の微細構造が障害された結果、
骨折が起こりやすくなった全身性の骨の状態、と定義されています
骨を強くするために
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カルシウムは吸収されにくい栄養素のため、成人での吸収率は 30%程度
→ 効率よく吸収させるには カルシウムだけでは不十分
また、骨が成長するためには、ビタミンC、D、K、マグネシウムなどの栄養素が関わってきます
カルシウムの吸収を高めるもの
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・マグネシウム ・・・魚肉類、バナナ、ほうれん草、ゴマ、大豆、わかめ、昆布など
カルシウムが心臓の細胞内に入り込んで血管を硬化させるのを防ぐ働きがあります。
カルシウムとマグネシウムは 2:1 でバランスを取るのがもっとも理想的とされています。
最近、マグネシウムが含まれる穀類や豆類、海藻などの摂取量が減り、現代人には不足しがちなミネラルです。
・ビタミンD ・・・魚類、きのこ類、鶏卵など
ビタミンDは腸からのカルシウム吸収を助ける働きがあり、骨粗しょう症の予防に不可欠なビタミンです。
1日に必要なビタミンDの量は 5μg(マイクログラム)ですが、胃腸の弱い方や高齢の方は腸の吸収力が低下しているので多く摂らなければなりません。
ビタミンDのもとになる食べ物を食べて日光にあたると、皮膚の組織に元々あるプロビタミンDがより活性化されたビタミンDになり、血液に乗って全身をめぐり、カルシウムやリンの吸収を活発にしてカルシウムが骨に沈着するのを助けます。
・ビタミンK ・・・納豆、ブロッコリーなど
ビタミンKは血液凝固に関わるビタミンです。
骨粗しょう症の予防にも効果があります。
納豆は納豆菌が腸内でビタミンKを産生するため、含有量以上の多くのビタミンKを摂ることができます。
※ ビタミンK は抗凝固剤のワーファリンの働きを打ち消す作用があるため、ワーファリンを服用中の方は、納豆を食べることは控えてください。
・ビタミンC ・・・果物、野菜
・乳糖 ・・・牛乳、乳製品
・オリゴ糖 ・・・乳酸菌飲料、ヨーグルト
・適量のたんぱく質
カルシウムを吸収しやすい時間帯?
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・カルシウムは血液中にも存在していて、残りは骨の中に蓄えられています。
血液中のカルシウムが減ってくると骨に蓄積されたカルシウムが溶け出して、
血液中のカルシウム濃度を正常に保つようになっています。
・そして、血液中のカルシウムは夜になると減少します。
つまり、
寝ている間に失われるカルシウムを補うには、
夕食にカルシウムの多く含まれたものを食べるのが良い
・・・というわけです。
カルシウムの食品別吸収率の違い
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1位 ・・・ 牛乳、乳製品。 約 40%
2位 ・・・ 大豆製品
3位 ・・・ 魚
4位 ・・・ 野菜、海藻類。 約 19%
カルシウムの吸収率は、「カルシウム:リン = 1:1」がもっとも良いとされています。
牛乳はリン酸を含みその比も大体 1:1なので最適な食品です。
なお、外食の回数が多いほど、カルシウム不足に陥りやすいです。
外食や冷凍食品などの調理済み食品、惣菜などをほとんど毎日利用する家庭では、全く利用しない家庭と比べ 11%のカルシウムが不足している、といわれています。
カルシウムの目標摂取量
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・ 1日 800r 以上
・骨粗しょう症の患者さんは 1日 1,000r 以上
・許容上限量は 2,300r
※ 17歳以下は定めない。しかしこれは、多量摂取を勧めるものでも、
多量摂取の安全性を保障するものでもない。
カルシウムの吸収率は年齢とともに悪くなるので、若い内に摂取しておくと将来安全です。
しかし、摂りすぎても逆効果なので摂取上限を守りましょう。
カルシウムの摂りすぎによる過剰症
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・ミネラルバランスが崩れてしまいます。
・尿中にカルシウムが多量に排泄されることで、尿路結石になることもあります。
腎結石、胆嚢の結石にカルシウムが付着することがあるので、そのような病気のある人は医師と相談してください。
カルシウムのサプリメントの利用
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牛乳やチーズが苦手な方、糖尿病や高脂血症、痛風などのため食事制限が必要な方、高齢で食が細くなっている方など、食事ではどうしても必要な量のカルシウムを摂りきれないことがあります。
その場合はサプリメント(補助食品)を利用することもひとつの方法です。
様々なサプリメントが市販されていますので、食事で不足しているカルシウム量を計算して必要量をサプリメントで補給するようにするとよいでしょう。
もちろん、カルシウムは食事で摂ることが基本であることを忘れないでください。
カルシウムと骨粗しょう症治療薬
▼Click!
骨粗しょう症の治療薬は主として骨を溶かす破骨細胞の働きを抑えることによって骨密度を高めます。
「薬を飲んでいるからそんなにカルシウムを摂らなくても大丈夫」
と思っている人もいるようです。
しかし、骨を創る材料はあくまでもカルシウムです。
カルシウムが不足すれば骨粗しょう症治療薬も効果が上げられません。
十分なカルシウムを摂る工夫、努力を続けてください。
健康寿命を延ばすには
▼Click!
生活習慣病にならずに 70歳代を迎えられたら今後は
「生活習慣病よりも老化の先送りを意識」
「老化速度を遅くする」
「要介護を予防する」
ための食生活を考えましょう
健康寿命を延ばすには ・・・ 高齢者の食事の大きな問題点
▼Click!
・摂取する食品や献立が単一的になりがち
・食べやすい糖質中心の食事になりがち
・味覚の低下のため、濃い味付けを好む
・堅いもの、繊維質の多いものを避ける
・あっさりしたものを好むため、脂肪の量が減っている
「健康的な食生活」は世代によって異なります。
高齢者といえども「粗食がいい」「魚、野菜中心」は間違い。
むしろ、牛乳、乳製品、肉、卵などの良質な動物性たんぱく質を十分に摂ることが大切です。
※ ただし、心筋梗塞を起こしたことがある人、糖尿病の人などはその限りではありません。
健康寿命を延ばすには ・・・ たんぱく質不足で栄養状態が悪いと?
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1.筋肉の衰え
歩く速度が遅くなり、転びやすくなる
2.貧血リスクが高くなる
血液の濃度が薄くなり、体がだるくなり悪寒を感じる
軽い運動でもすぐに息が切れるようになる
3.抵抗力が弱くなる
風邪、様々な病気にかかりやすくなる
4.心の健康度消失
ストレスをためやすくなる
健康寿命を延ばすには ・・・ さまざまな食品群をバランスよく
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これだけ食べていれば健康になれる、という食品はありません。
「1日30品目」を食べることが勧められていますが、品目数だけでは多様な栄養素がとれているかどうかはわかりません。
「肉類」「魚類」など
10の食品群 をなるべく毎日摂るようにしましょう。
〜 10の食品群 〜
・肉類 ・・・ 強い体をつくるスタミナ源
・魚介類 ・・・ 血圧を下げるタウリンが豊富
日本人は魚と肉をほぼ 6:5 の比率で食べており、理想的なバランスです。
しかし高齢者に絞ると 2:1 と肉の摂取量が少なくなります。
魚と肉の摂取を 1:1 にしましょう。
・油脂 ・・・ 疲労回復に効果的
・卵 ・・・ たんぱく質の宝庫
・海藻 ・・・ ミネラルが豊富
・牛乳、乳製品 ・・・ 骨密度を高める
・大豆、大豆製品 ・・・ 抗酸化物質が豊富
・緑黄色野菜 ・・・ 抗酸化物質が豊富、ビタミンを補給
・イモ ・・・ 食物繊維が豊富
・果実 ・・・ ビタミンを補給
食が細くなって食事の量が少ない人は、補助食品の活用もひとつの選択肢にしましょう
健康寿命を延ばすには ・・・ 抗酸化物質とは? ▼Click!
・活性酸素
呼吸で吸った酸素の 2%は体内で毒性の強い活性酸素になります。これが細胞や組織を傷つけ老化という現象を生じさせています。
また、薬、たばこ、心身のストレス、過度の運動、過剰な紫外線、放射線、大気汚染、食品の添加物、農薬なども活性酸素を増やす要因になります。
活性酸素はあらゆる病気の原因にもなります。
抗酸化食品(抗酸化物質が豊富な食品)は活性酸素を消去する能力があり、抗酸化力を高めます。
年齢とともに人間が本来もっている抗酸化力は弱まっていきます。
抗酸化力が強い人ほど老化のスピードが遅いといわれます。
抗酸化力を高めるには、参加を進めるような生活を見直し、抗酸化物質を多く含む食品を積極的にとるようにしましょう。
≪酸化・老化を防ぐ抗酸化物質≫
・ポリフェノール
・リコペン
・カロテノイド
・β-カロチン
・ビタミンC、E
・硫黄化合物
・タウリン
・グルカン酸
体内での持続時間は短いので、多くの種類を継続的に毎日取り入れましょう
健康寿命を延ばすには ・・・ 気力体力の向上を図りましょう
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女性の場合は男性に比べて筋肉が少ないため、老化に太刀打ちできる予備の力がわずかしかありません。
老化を意識して筋力など予備力をつけましょう。
適度な運動と、老化の先送りを意識した食事を心がけて、健康寿命を延ばしましょう。
生活の質を高める食介護とは
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加齢による心身機能の低下や気力・体力の低下などから、高齢者は低栄養の危険が増えます。
・味覚・嗅覚の衰えにより、好みに合わない食事は食欲が低下する
・腸の動きが悪くなり便秘がち
便秘が続くとおなかが張って食欲不振となる
etc・・・
よりよい栄養状態で健康を維持・向上していくことは、生活の質の向上につながり、ひいては介護予防にもつながっていきます。
生活の質を高める食介護とは ・・・ 食べる雰囲気づくり
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・ベッドから離れて、明るく食事環境にふさわしい場所で食事を
体を動かしたり、食材を自分で選んだりすることは、食べる意欲につながります。
また一人で食事をするよりも、皆と食卓を囲む時間をつくるなど食事以外にも楽しい目的ができれば、社会関係の改善にもつながり、閉じこもり予防にもなります。
1日3回、可能な限り食卓へ移動して食事をとることで、食事の時間を基本に生活のリズムを整えることもできます。
・摂食姿勢の確保を
高齢者が栄養を充分に補えない原因のひとつに、食べること、飲み込むことの障害があります。 窒息や誤嚥(食べ物が誤って気管に入ること)を防ぐためにも、「ゴックン」と飲み込みやすい姿勢が保てるようにしましょう。
生活の質を高める食介護とは ・・・ 食形態の選択
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・咀嚼(そしゃく)、嚥下(えんげ)の障害レベルに適したメニューが必要
(プリン、ゼリー状、ポタージュ状、ネクター状、蒸し物、すり身、粥状、乳化状が好ましい)
・家族の食事にもう一手間かけて咀嚼・嚥下のレベルにあわせる
・市販食品、冷凍食品、レトルト食品、うらごしした食品などを利用する
咀嚼する(かむ)目的は、唾液と混ぜ合わせて飲み込みやすい塊(食塊)にすることです。
刻むだけでなくコーンスターチやとろみ調整剤を用いてまとまりやすくすると食べやすくなります。
また、隠し包丁やミキサーの利用といった、調理・料理の工夫が必要です。
生活の質を高める食介護とは ・・・ 最後に
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おいしく食べることを支援する食介護は、その人に関わることのできる人たちが「なぜ食べられないのか」「何が食べられないのか」「どうすれば食べられるのか」の原因を見極める事と、支援する人たちの「知識」「技術」「気づき」「行動」など、様々な要因が重なりあって実現します。
口から食べて栄養をとることとは、心身の健康を維持・向上するための基本です。
皆様のまわりで食べることに問題を抱えている人があれば、是非参考にして取り入れることは取り入れ、日々の生活を豊かなものにしましょう。
痛風とは
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痛風は尿酸の結晶が関節に沈着して起こる病気です。
尿酸の結晶、痛風結節ができたりします。
尿酸はからだの細胞の新陳代謝やエネルギーの消費によってできる老廃物です。
尿酸のもとはプリン体という物質で、細胞や食品中などに含まれています。
わたしたちの体内では毎日プリン体から尿酸がつくられ、腎臓から尿に溶けて排泄されています。
尿酸はからだの中で結晶化します。
尿酸は体内で大変溶けにくい性質をもっています。そのため、増えすぎてしまった尿酸は溶けきれずに結晶化していきます。
この尿酸の結晶がからだのいろいろな部分に沈着して害を及ぼします。
高尿酸血症と痛風
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尿酸値の上昇が起こるのは ・肝臓で尿酸を作りすぎる場合 ・腎臓から尿酸が排泄されにくい場合 ・両方をあわせもつ場合 が考えられます。
血清尿酸値 7.0mg/dl を超えた状態 → 高尿酸血症
高尿酸血症状態がすすみ急性関節炎発作 → 痛風
痛風の有無にかかわらず尿酸値が高くなること自体が代謝障害として注意が必要で、生活習慣病のひとつといわれています。
痛風発作の誘因としては、
・血清尿酸値高値を放置(7.0mg/dl 以上)
・常時多量の飲酒
・気温の変化
・精神的な緊張やストレスの持続
・連日の激しいスポーツ
などが挙げられます。
高尿酸血症・痛風の合併症
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尿酸は主に腎臓から排泄されるため腎臓に沈着すると腎障害を引き起こします。重症化すると腎不全になり透析が必要な場合があります。
尿路で尿酸が結晶化すると尿路結石を作ったりカルシウム結石の原因となったりします。
生活習慣病(肥満、高脂血症、糖尿病、高血圧)などとも合併しやすくそれぞれが危険因子として動脈硬化症の原因となり虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)や脳血管障害(脳卒中)を引き起こすものと考えられています。
食生活の改善
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・肥満の解消
体脂肪率と血清尿酸値との間には正の相関関係が認められています。総カロリー量を制限し、体重を標準にコントロールすることが大切です。
・プリン体の制限 (高プリン体食品への偏り是正)
プリン体は肉、魚、内臓、ビール、豆類などに多く含まれています。
ただ、厳格なプリン体制限食は栄養のバランスが崩れる原因にもなり、長続きするものではありません。タンパクの過剰摂取をさけ、肉汁や内臓を制限する程度で良いでしょう。
・飲水の励行
水分を十分にとって尿量が増加すると尿酸の排泄量を増加させることができるため、水分を十分に補給するようにしましょう。
ノンカロリー飲料(水、お茶)で 1日に 1リットル 程度の水分を余分に摂りましょう。
・アルコールは適度な量を
アルコールは休肝日を設け、適度な量をたしなむようにしましょう。
中でもビールはプリン体含有量が高く、とくに注意が必要です。
運動療法
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適度な運動は肥満解消のために効果的です。自分にあった軽い運動を定期的に行い体重をコントロールしましょう。その際、水分を十分に摂りましょう。
短時間にからだを動かす激しい運動は、逆に血清尿酸値を上昇させるので避けましょう。
好ましい運動(有酸素運動)
・水泳
・サイクリング
・散歩
・ジョギング
・軽いエアロビクス
1週間2〜3回以上、1回20分以上、継続する
好ましくない運動(無酸素運動)
・短距離走
・過度の腹筋運動や筋力トレーニング
・その他の激しい運動
尿路管理
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・水分を多くとって尿量を増やす
※ 腎臓病や心臓病などで水分摂取量を制限されていないこと
・酸性尿を改善する
尿酸は酸性尿(pH 6.0未満)で溶けにくく、中性に近い尿で解けやすい性質を示します。
高尿酸血症の患者さんには酸性尿が多く、溶けきれなくなった尿酸が結晶化して、尿路結石や腎障害を起こしやすい状態にあります。
尿の pH は食事の影響により変化します。海藻類、野菜、芋類などのナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルの多い食品を毎日摂りましょう。
最近の日本人の死亡原因のベスト3は・・・?
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がん、心臓病、脳卒中
心臓病、脳卒中は動脈硬化と高血圧が大きな要因となっている病気です。
動脈硬化とは
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動脈は弾力性に富み、少々血液量が増えても膨張することで十分耐えることができます。しかし老化や血液中の中性脂肪、LDL-コレステロールが増えて動脈に蓄積すると、動脈の壁が厚くなって弾力がなくなったり血管が狭くなって血流が悪くなります。
これが動脈硬化です。
動脈硬化の危険因子とは
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動脈硬化の危険因子には様々なものがあります。
・肥満
・喫煙
・運動不足
・ストレス
・加齢
・家族歴(遺伝)
・糖尿病
・高脂血症
・高血圧
・高尿酸血症(痛風)
etc・・・
高血圧と動脈硬化の悪循環
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高血圧の状態では動脈に強い圧力がかかるので、動脈壁に傷などが発生しやすくなり動脈硬化を起こします。
動脈硬化が進むと血管のしなやかさが失われてもろくなったり、血管の内腔が狭くなって血液の流れが悪くなったりします。
これを改善しようとして心臓が拍動を強めるため、血圧が上昇します。
このように、高血圧と動脈硬化は悪循環の関係にあります。
食事療法 ・・・ 塩分
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・高血圧の人は 1日の食塩 7g以下、健康な人でも 1日 10g以下に
カリウムを多く含む食品を摂ることによって高血圧の原因となっているナトリウムの排泄を促します。
≪カリウムが豊富な食材≫
ほうれん草
小松菜
三つ葉
タケノコ
アボガド
バナナ
キウイ
納豆
きな粉
枝豆
・・・などなど
食事療法 ・・・ コレステロール
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食事療法 ・・・ 水分補給
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水分補給により血液の流れを良くし血栓を作りにくくします。
年齢とともに体内の保水力の衰えがみられるようになるため、常に水分を補うことが必要となります。
風呂上がり、就寝前の水分補給を心がけましょう。
まとめ
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過食、肥満、不規則な食生活、若年層からの畜鶏肉食中心の生活、高齢化による免疫力の低下、複雑な社会からのストレスによって動脈硬化が引き起こされています。規則正しい生活、運動、休養、栄養バランスのとれたいろいろな食品を組み合わせた食事、生活態度が基本と考えられます。